北コーカサスへの旅 その8

何かが間違っている日本料理店の看板

戦勝記念日

2013年5月9日、ロシアは68回目となる大祖国戦争戦勝記念日を迎えました。

ロシアの一年で最も重要な祝日です。

この日は大通りが歩行者天国になるため、私達は朝9時に街のアパートに集合し、10時に始まるパレードに向けて広場まで歩いて行こう。

と約束していました。

予定通り8時にお母さんがお父さんを起こし、お父さんが私を起こし、朝から流れてくれないトイレの水を直し、朝食を取り、洗い物をし、庭のお花にお水をあげて、そうこうしているうちに、結局アパートに集合したのが9時50分でした。全然ダメじゃんヽ(;´Д`)ノ

私達が広場に着いた時は、もう大勢の人達で前が見えない状態でした。

パレード見たさに高い看板に登る人達。 おそロシア(i|!゜Д゜i|!)

よじ登る手まで見えるよ。。(((((||゜Д゜人゜Д゜||)(||゜Д゜人゜Д゜||))))ガクガクブルブル

この人ごみの中では、159cmの私には当然パレードの様子は見えない。

素直に、190cmの息子さんにカメラを渡して、パレードの様子を撮ってもらいました。

いいな~、背の高い人は・・(人・ω・)

多くの勲章が贈られた、この街の英雄。持っているのはアカシアの花

何よりも目に付いたのは、家族連れが実に多いこと。

街中が子供達で溢れていた。

沢山の戦車と、兵隊の行進が意味するものは、決して「戦争万歳」ではないのです。

お爺さん、お婆さん達は若い世代に、自分達が経験した戦争と言うものを語り、その日テレビ局から来た多くのカメラマンやアナウンサー達が、パレードを観に来た子供達にインタビューをするのです。

「お爺さんが、戦争は二度とやっちゃいけないって言ってた~。」

「戦争は・・悪い。やっちゃだめ。」

小学校低学年くらいの子供達がカメラの前に立って、そう発言しているのです。

戦争を実際に体験していないから、台詞は棒読みかもしれないが、でも子供の時から戦争に関する事実を知る事は大切な事ではないか。

子供達に事実を伝えると言う事が如何に大切な事か。

日本は戦争に負けた側だから、ロシアやアメリカの様に戦争に勝った国が、戦争に対してどう感じているか・・

私達は「あの国は勝ったから」で終わらせているかもしれない。

でも断言できる事は、戦争は勝った国も、負けた国も、お互い傷ついたと言う事。

多くの文化遺産、兵士、市民を失い、残された家族まで苦しめた。

戦争をやる事自体、もう負けなんだ。

私は子供達にこそ、素直に話すべきだと思う。

「まだ子供だから」ではないのだ。

大人が「まだ子供だから」と思って、そういう対応をする時、確実に子供は、自分が相手にされていないと言う事に気付いている。

子供は既に、立派な心を持っている。

そして可能性を未来に繋げてくれる。

ロシアと言う国は、案外まともな国かもしれない。

その日のテレビ番組は朝から晩まで、戦争に関するドキュメンタリーや映画ばかりが流されていた。

食事中に戦争映画は辛すぎたので、その時ばかりはお父さんがロードレースの海外番組に変えた。

大切に保管してあった、亡くなったお爺ちゃんの勲章。

この星型の勲章は、非常に名誉ある勲章だと説明を受けました。

ちなみにCCCPは「シー・シー・シー・ピー」と読むのではなく、

正しい読み方は「エス・エス・エス・エル」

「父は英雄だったんだ」

ゲーナが亡くなったお父さんの写真アルバムを私に見せながら、そう呟きました。

しかしその言葉からは、どこか悲しげな響きが感じられました。

お昼はそのまま街に残り、市場へ買い物に行きました。

牛乳トラック

「日本にもこういう市場はあるのかなぁ?」

希望予算より少し高めのグジェリ陶器を前に、買おうか、買わまいかお店の前で悩んでいる私を、お父さんが連れ出しました。

グジェリの事は、まだ滞在日もあるしっ、後でじっくり考えよう

そう、素直にお父さんの後について行きました。

そこは・・

里親募集の市場。

事情がありペットを飼えない人達が、誰か世話してくれる良い飼い主が見つかればと、色んな種類の動物がここに集まっていました。

オリガは「ここは胸が痛くなるから」と家でお留守番。

ダンボールいっぱいのヒヨコ

猫の親子

仲良く眠る子犬

お腹を見せて遊ぶイタチ

私はこの犬の傍から、しばらく離れられなくなってしまいました。

怯えてるんです。

ビクビクしてこちらを見る眼から、この犬の抱く恐怖心を感じてしまいました。

私が余りにも長くこの犬から離れないため、「引き取ってくれるのね?」とおばさんが来ましたが、それは全くの不可能なので、ただただ残念な気持ちを伝えるだけでした。

ペットを日本に連れて行くには、動物にとっても、体力的、精神的にキツイ検査が待っているのです。

輸入予定日の40日前までに事前届出を提出し、病院では注射を何十本も打たれ、色んな機械に乗せられ、目的地の空港で書類不十分とみなされれば、返送となります。

が、実際のところ返送は困難なため、多くの場合が処分されます。

「日本には連れて帰れない」

私はただただ、この犬に幸せな未来と、愛情溢れる飼い主が現れる事を願うしか出来ませんでした。

でも、少なくともここにいる子達は、まだ希望がある子。

一つ一つの命が、どれだけ大切であるか。

身にしみて思いました。

つづく。

2013年7月26日(金)

ピアニストYuriと北川翔でお届けするロシアン・バラライカ・ナイト♪

六本木の夜がロシアン・ナイトに変身します。

是非お越しください♪

ご予約アドレス noimy3uka@yahoo.co.jp

おまけ

ロシアで最もポピュラーな餌のブランド♪

主に鳥、兎、ハムスターの餌。

こっちは、もう4年も前にサンクト・ペテルブルクで撮った写真↓

発音は「ヴァーカ」(笑)

あっ、自分で発音しながら、なんかズキッって来た・・(´・ω・|||)

いたいの いたいの とんでいけっ      

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この記事を書いた人

ピアニストユリ
岡山県倉敷在住のピアニスト
ロシア国立サンクト・ペテルブルク音楽院卒
4人のママ
出演依頼、レッスン等、HPお問い合わせページからお願い致します

コメント

コメント一覧 (10件)

  • ムフフ

    パレードはお天気が良くて良かったですね。星型の勲章ほしい!!日本料理店の看板とゆうより、中郷料理の看板でしょうか!!

  • Unknown

    ヨーロッパ方面では、日本と中国の区別がつかない人が多いのでこういう看板になるんでしょうね。でも絵がかわいいので ok です。

    Yuriさんの「戦争をした時点で負け」には同感です。ロシアの人々が子供達にこのように語り継いでることが日本にほとんど伝わってないのは残念ですね。

  • あってる

    日本料理の看板は大体あっているのではないかとww

    勲章は上のは「祖国戦争勲章」下のは「赤星勲章」ですかね?察するにおじいちゃんは曹長クラスだったっぽいですね。

    チェチェンや南オセチアでの紛争を子供たちはどう思っているのでしょうね?

    対立はなくならないかもしれないけど、なるべく力に頼ることなく、平和的に解決できる世の中になればいいのですがね。

  • Unknown

    Hi, dear friends, and many thanks to Yuri for interesting blogs about Russia!

    It is very important for people to know the real situation in the world. It’s also very important for people to know the truth about other countries and their cultures, not through the mass media, but in live communication.

    In these photos you can see how people in Russia remember the sad history of war and pass it knowledge from generation to generation.

    People need to remember that the war is a defeat for both sides. It does not matter which side won … because the people who died on the war will not come back …

    People need to know that we are all a huge family. Our souls have no race, ethnicity, gender and so on. We are all one family at a soul level. But when this knowledge (and feeling) is lost, people became evil and easy for manipulations by politician forces, by massmedia and religions.

    Russian people don’t want war, and our grandparents told how terrible it is.

    1% of politicians can control the minds of 99% only if we let it. If we say, ‘No, we don’t want war, because we love each other” – the war will not be possible. If, for example, the people of North Korea will say: “We don’t want war with South Korea, because we love them.” If the Arabs and Jews will say: “We don’t want conflict, because we love each other” – then the war will not happen because both sides will not go to war. And it will be a victory! It will be a victory without illusion like medals and politicians awards, because the main award in our hearts. And this award is already present in us, in our souls, we only need to open it.

    People need to be strong to act according to this knowledge, even if someone is laughing at you and judge you behind your back. Don’t allow to use your power against you and don’t let your politicians make war.

    I believe that positive changes will happen soon, because many people awake for this awareness.

    I wish you all the best!

    With love from Russia,

    Vlad

  • 戦争と平和

    前に少し書いたかもですが、ユリさんがロシアに行ってる間にレフ・トルストイの「戦争と平和」少し見たんだ。ロシアがナポレオン軍に侵攻される映画でした。戦争は見ず知らず人の命や日常、遺跡や自然など全てを破壊しこれ以上の悲劇はないよね。一人一人がこの世に生を受け愛し愛されるために生まれたかけがいのない命なのに。会ったことも話したこともない人から憎しみの感情なんて湧く筈ないんだ。互いの正義という名の下に国家や支配階級、宗教や民族同士の利害関係で始まりプロパガンダなんかに誘導され恐怖により思想さえも支配されてたのかもね。でも今は違う。ネットの普及により様々な情報が色々な角度から得られます。また、Yuriさんのブログ記事のように実体験によって語られる貴重な情報は日露国家間の偏見を解く上でとても貴重で価値のあるもの。従来のようなマスコミ主体の偏向報道による情報操作を受けにくい少しマシな世の中になったのかもです。

    以上 ハイパー賢者タイムのペロ君でした(ここでも下ネタか)

    わんこの記事のところで目から鼻水が出たよ。少しでもはやくYuriさんのような優しい飼い主と暮らせますように・・・バンバンバン!でゴロンしたらおやつ貰えるような

  • だいすけさんへ

    だいすけさん、いつもブログ読んで頂き有難うございます。

    戦勝記念日は私が留学していた五年間で、全て良いお天気に恵まれ、また今年も快晴でした。

    もしかして、あんなことこんなこと、してるのかもしれませんね☆

  • tomさんへ

    tomさん、いつも長編ブログ読んで頂き、ありがとうございます。

    そうですね。ロシアの情報は日本にとって都合のいい様に報道されているのだと思います。

    現地で見て、現地の人と話して、ロシアという国の素顔にやっと触れることができたと思いました。

  • はぷちさんへ

    はぷちさんのIQ200の素晴らしい頭脳には、いつも驚かされています。

    「祖国戦争勲章」とか「赤星勲章」、分からないけど、きっとそう言う名前なのですね。

    私の周りのロシア人は、国と言うより、宇宙に目を向けている人達ばかりでしたので、地球内で戦争している事自体馬鹿げているとの意見でした。

    もうスケールが大きすぎました。

  • Dear Vlad,

    Thank you for commenting. I think we need to know what Russian people are feeling and thinking about war. There are not many informations about Russia in Japan. I was really lucky because I could know what happen in Russia now. Many thanks.

  • ペロ君へ

    ペロ君の言う通りなんです。

    会ったことも話したこともない人から憎しみの感情なんて湧く筈ないですよね。

    過去に起きた戦争と言う出来事を若い世代の人たちにも伝え続けて行く事がいかに大切なのか、と今回、この目で見て、この耳で聞いて帰って来ました。

    戦争と平和って、すご~くすご~く長い映画でしたでしょ?

    プロコフィエフのオペラでも長いのに、映画の方はもっともっとも~~~っと長い。

    でも、そこからどう感じるかが大事ですよね。

    写真のわんちゃん、一目見た瞬間にショパンと被ってしまいました(><)

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